2月4日は トロンボーン奏者 J.J.ジョンソン氏の命日
2001年77歳で死去
Blue Bossa
J.J. Johnson, Trombone
Ralph Moore, Tenor Sax
Renee Rosnes, Piano
Rufus Reid, Bass
Billy Drummond, Drums
モダンジャズにおけるトロンボーン演奏の第一人者であり、ジャズ界で「J.J.」と言えばすなわち彼を指すほどに著名な存在である。
いくつかのリーダー・グループを率いたが、人気・実力共もっとも高かったのは1954年に白人のトロンボーン・プレイヤーカイ・ウィンディングと結成した2トロンボーン・コンボ「J&K」であろう。二人は日本でも「スイングジャーナル」誌における人気投票のトロンボーン部門で常に上位を争う存在であった。二人のコンボは、その独創性と完成度によって当初から高い評価を得ていた。
またプレイヤーとしてだけではなくアレンジャーとしても活躍しており、自身が参加していないアルバムのアレンジや、映画音楽のスコアも数多く手がけている。70歳近くになってからもマッキントッシュPCでの編曲を始めるなど、精力的に活動。作曲面の才能もあり、バラード「ラメント」”Lament”などの代表曲がある。
他に共演者はクリフォード・ブラウン、ジミー・ヒース、ケニー・クラーク、ウィントン・ケリー、チャールス・ミンガス、マイルス・デイヴィス、ハンク・モブレー、ホレス・シルヴァー、ポール・チェンバース、ソニー・ロリンズ、スタン・ゲッツ、オスカー・ピーターソン、レイ・ブラウン、トミー・フラナガン、マックス・ローチ、レオ・パーカー、ハンク・ジョーンズ、ソニー・スティット等が挙げられる。
トロンボーンはトランペットやサックスのようにバルブやキーを操作することで音階を変化させるのではなく、スライドを伸縮させることによってそれを行う。このことが楽器としてきわめて特徴的な機能、例えば中間音(ハーフトーンやクォータートーン)を容易に出せる、スライドトーンといった表現が可能である等をもたらした。
これらの特性はトロンボーンにハーモニー楽器としての位置付けをなし、アンサンブルを重視するビッグバンド・ジャズにおいてバンドや曲自体の性格を決定する「核」としての役割を果たすこととなった。
しかしその後に訪れたビバップ時代は、スピード感あふれる素早い音の切り替えや高音域までカバーする幅広い音階を多用したアドリブ(インプロヴィゼーション)プレイ重視となり、前述したトロンボーンの楽器としての特徴は逆に欠点(スライドの移動距離が大きく素早いフレーズを吹きにくい、音程が狂いやすい、音と音の切り替えがあいまい等)となって、ジャズ楽器の主流の座を失っていった。
J・J・ジョンソンは「トロンボーンのディジー・ガレスピー」と形容された超絶的技巧をもってこの欠点を克服し、モダン・ジャズのトップ・プレイヤーの地位を確立すると同時に、以降の時代におけるトロンボーンのジャズ楽器としての可能性を示し、多くの後進たちに多大な影響を与えた。その高速フレージングは、わざわざアルバムジャケットに「バルブトロンボーンに非ず」との注記まで付けられたほどである。