1956年1月30日収録。
直立猿人 – Pithecanthropus Erectus
ジャズ・ベーシストのチャールズ・ミンガス(当時はCharlie Mingus名義)が、1956年にアトランティック・レコードから発表したアルバム、およびその冒頭に収録されている曲。マイルス・デイヴィスから紹介されたアルト・サックス奏者ジャッキー・マクリーン等、強力なメンバーを集めたクインテットで制作した。ベーシストとしては既に名の通っていたミンガスだが、本作の発表により、作曲家/バンド・リーダーとしての才能も広く知れ渡った。
「直立猿人」は、ミンガス自身の説明によれば、「Evolution(進化)」「Superiority Complex(優越感)」「Decline(衰退)」「Destruction(滅亡)」の4部構成の組曲。人類の文明社会を風刺しているとも取れる曲で、ジャズに文学的要素を持ち込んだ曲として、高く評価された。巧みに計算されたテーマ部分と、破壊的な即興演奏が、激しいコントラストを織り成す。
「霧深き日」は、ジョージ・ガーシュウィン作曲のスタンダード・ナンバーだが、本作では、サックスがクラクションのような音を出すなど、前衛的なアレンジが施されている。マイルス・デイヴィスは、1990年のインタビューで、自分も「霧深き日」をレコーディングしようとしたが、ミンガスの演奏が素晴らしかったため、レパートリーにするのをやめたと述懐している。
レコードA面では先進的な作曲・アレンジが目立つが、B面では、ジャッキーが活躍する「ジャッキーの肖像」や、15分近い大作「ラヴ・チャント」で、親しみやすい曲作りも見せている。
収録曲
- 直立猿人 – Pithecanthropus Erectus(Charlie Mingus)
- 霧深き日 – A Foggy Day(George Gershwin, Ira Gershwin)
- ジャッキーの肖像 – Profile Of Jackie(C. Mingus)
- ラヴ・チャント – Love Chant(C. Mingus)
演奏メンバー
- チャールズ・ミンガス – ベース
- ジャッキー・マクリーン – アルト・サックス
- J.R.モンテローズ – テナー・サックス
- マル・ウォルドロン – ピアノ
- ウィリー・ジョーンズ – ドラム